エイジングケア・育毛ケア【医師監修】女性が頭頂部の薄毛の対策について

何気なくいつもと違う角度で鏡を見たら、頭頂部やつむじあたりの髪の毛が薄くなっていてびっくりしたという経験はありませんか?頭頂部やつむじは普段、自分では見えないため、気付かないうちに薄毛が進行してしまうことも。「この状態をずっと人に見られていた」と思うとショックを受けますし、外出するのがイヤになりますよね。
この記事では、頭頂部の薄毛の原因やすぐ始められる対処法を紹介します。適切な対処法を知って、頭頂部やつむじを気にせず過ごしましょう。
頭頂部やつむじの薄毛が気になる原因とは?

男女問わず薄毛に悩まされますが、タイプが異なるといわれています。男性は額が広くなるなど、生え際から抜けるケースが多く見られます。対して女性は頭頂部や髪の分け目などが目立ち始め、しだいに頭部全体の髪の毛が薄くなるケースが多いようです。この違いは薄毛の原因が大きく関係しているとされ、生え際から抜ける男性の薄毛は、原因に男性ホルモンが関係しているといわれています。つむじや頭頂部が目立ち始める女性の薄毛は、血行不良や栄養不足などの原因が考えられます。では、頭頂部やつむじが薄毛になる原因について、一つひとつを詳しく見ていきましょう。
加齢による女性ホルモンの減少
頭頂部やつむじの髪の毛が薄くなる原因として、まず考えられるのは加齢による女性ホルモンの減少です。女性ホルモンの分泌量は一般的に20代後半から30代半ばぐらいまでがピークといわれており、その後は徐々に減少していきます。そして40代に入って更年期を迎えると、女性ホルモンの急激な減少により、抜け毛や薄毛がさらに目立つようになります。
加齢は女性ホルモンの減少だけではなく、髪の毛を作り出す毛母細胞の老化にもつながるため、年齢を重ねることで薄毛のリスクは高くなるといえるでしょう。
不規則な生活習慣
20代などの若い女性も頭頂部の薄毛に悩まされることがあります。その原因として、生活習慣が乱れていることなどが考えられます。ダイエットのために食事をあまり摂っていなかったり、同じものばかり食べたりしている場合に起きやすいようです。食生活の乱れのほかにも、仕事や育児などで睡眠不足や運動不足が続くと、薄毛の原因となってしまう生活習慣の乱れには注意が必要です。
ストレス
社会生活を送っていると、完全にストレスを避けることは難しいです。しかし強いストレスを感じたり、発散できずにストレスを抱え込んだりすることは薄毛につながります。
ストレスを感じていると、体内の亜鉛がたくさん消費されます。亜鉛は髪の毛を作り出すのに大切な成分であるため、不足すると健康な髪の毛が育ちにくくなります。また、ストレスをためると血流が悪くなり、頭皮や髪の毛に必要な栄養が行き渡りにくくなることも考えられます。
誤ったヘアケア
ヘアケアの誤りも頭頂部の薄毛の原因となります。よくある誤りとして「頭皮や髪の毛を清潔に保ちたいから、一日に何度もシャンプーをしている」ことが挙げられます。清潔さを保つのは大切ですが、皮脂の洗い流しすぎによって乾燥を招き、頭皮環境が悪化する原因となる可能性があります。シャンプーによる刺激を何度も繰り返すことになるのも、髪や頭皮にとってよくありません。
また「熱で髪を傷めるから、シャンプー後にドライヤーは使わず自然乾燥にしている」という場合も注意が必要です。濡れている髪の毛はダメージを受けやすく、頭皮も細菌が繁殖しやすい状態になっているため、放っておくとトラブルを引き起こす可能性があります。
ヘアスタイル
いつも同じところできつく結ぶヘアスタイルを続けていると、引っ張られている部分の髪が抜ける「牽引性脱毛症」を引き起こす恐れがあり、結ぶ位置によっては頭頂部やつむじの薄毛が目立つ原因になります。またヘアスタイルのおしゃれのために、短期間でカラーリングやパーマを繰り返すことも、髪の毛や頭皮のダメージにつながります。
つむじの薄毛予防に効く4つの方法

頭頂部やつむじが薄毛になってしまう原因を紹介しました。それでは具体的にどのような対処をすると改善につながるのでしょうか。すぐに始められる対処法を紹介しますので、ぜひ実践してみてください。
食生活の見直し
髪の毛は食事で摂る栄養から作られるものであるため、食生活はとても大切です。食事習慣と食事内容のふたつを見直しましょう。
食事習慣は、ダイエットのために食べる回数や量を極端に減らしすぎていないか、時間がないからとファストフードやインスタント食品ばかり食べていないかなどに気をつけましょう。食事の量や回数が少ないと、摂取できる栄養素も少なくなってしまいます。
食事内容は、さまざまな栄養素を取り入れたバランスのよいものにするよう心がけましょう。ファストフードやインスタント食品ばかり食べるのは、塩分や脂肪分のとりすぎにつながります。髪にとって大切な栄養素を含んだ食べ物を積極的に摂るのがおすすめです。
健康な髪の毛を育て、頭頂部やつむじの薄毛を緩和するために大切な栄養素には、たんぱく質や亜鉛などのミネラル、ビタミンB2やビタミンB6などがあります。たんぱく質は髪の毛の原材料となり、亜鉛などのミネラルは髪の毛を合成する際に必要となるため、不足すると新たな髪の毛を作り出せなくなります。ビタミンB2やビタミンB6には、代謝を活性化させて髪の毛を作り出すための細胞分裂を活発化させたり、前述の亜鉛の吸収をサポートしたりする働きがあるといわれています。
たんぱく質は肉や魚、大豆などに含まれており、亜鉛は海藻や納豆、うなぎや牡蠣などに含まれています。またビタミンB2は卵やレバー、ビタミンB6はナッツや鮭、マグロなどに含まれています。食事でバランスよく栄養を摂取するのが望ましいですが、難しい場合はサプリメントなどを利用し摂取するのもよいでしょう。
頭皮マッサージ
頭皮マッサージには、硬くなった頭皮をほぐして血流を促進する、リラックスしてストレスを解消する、毛穴の詰まりを取り除くなどのさまざまな効果が期待できます。簡単にできる頭皮マッサージのやり方を紹介しますので、ぜひ実践してみてください。
まずは髪の生え際部分に指を置き、気持ちいいくらいの力で押し上げて2秒ほどキープします。次に下に引っ張り、同じく2秒ほどキープ。これを数回繰り返してください。次に側頭部に指を置き、円を描くようにほぐします。そして、頭頂部はつむじに向かって頭皮を引き上げて数秒キープし、逆方向に引き伸ばして数秒キープするマッサージを数回繰り返しましょう。
マッサージのコツは、髪の上から指を置くのではなく、髪の毛の根元に指を差し入れて頭皮を直接マッサージするよう心がけることです。爪が当たると頭皮を傷めてしまうため、指の腹を使いましょう。力を入れすぎず、気持ちいいと感じる程度で行うのが大切です。
頭皮マッサージは、入浴時や寝る前などのリラックスタイムにするのがおすすめです。タイミングを決めることで、毎日継続して行いやすくなります。
シャンプーの見直し
ボトルのデザインや香りなどで選びがちなシャンプーも、自分に合ったものを選んで使用することが大切です。頭頂部やつむじの薄毛が気になる場合、刺激が少なく洗える「アミノ酸系界面活性剤」を洗浄成分としているシャンプーを選ぶのがよいでしょう。必要以上に皮脂を落としすぎるリスクを軽減することができます。
頭皮を健やかに保つ働きに期待できる「グリチルリチン酸2k」や、ニキビケアにも使用される殺菌成分である「サリチル酸」など、配合成分を見て選ぶのもおすすめです。自分にはどんなシャンプーが合うのか知りたい場合は、専門のクリニックを受診して医師のアドバイスを受けましょう。
生活習慣の見直し
毎日の生活習慣を見直すことで、頭頂部やつむじの薄毛を改善することに期待できます。
睡眠不足だと髪の毛を育む成長ホルモンが足りなくなるため、良質な睡眠を取るよう心がけましょう。成長ホルモンは、眠ってから3時間以内に分泌されるといわれています。あまり長時間の睡眠時間が確保できないという場合も、寝る前のパソコンやスマートフォンの使用や飲酒を控えるなど、良質な睡眠を取る工夫をしましょう。
ストレスをためないようにするのも大切です。軽い運動をする、休日に自然と触れ合う、親しい友人とおしゃべりをするなど、自分なりのストレス解消方法を見つけておくのが望ましいです。
- Summaryまとめ
- 頭頂部やつむじが薄毛になる原因、対処法を紹介しました。生活習慣の見直しや頭皮マッサージなどは、毎日継続することが大切です。最初に無理のある目標を立てて挫折してしまうことがないよう、少しずつ改善していきましょう。
セルフケアを行っているけれど変化がない、自分の薄毛の原因がわからずケアができないなどの場合には、専門のクリニックに相談するのが望ましいです。検査に基づいた医師の診断が受けられるほか、必要に応じて治療薬を処方してもらえる場合もあります。「薄毛を相談するのは恥ずかしい」と感じるかもしれませんが、最近では女性も薄毛を相談しやすい環境が整ってきています。頭頂部やつむじの悩みをひとりで抱え込まず、相談することも選択肢のひとつとしてケアを行いましょう。
この記事の監修医師
AGAスキンクリニック レディース院 診療顧問田中洋平医師
- 【資格】
- 日本形成外科学会専門医
医学博士(信州大学)
- 【所属学会】
- 国際形成外科学会会員
日本美容外科学会会員
日本皮膚科学会会員
日本美容皮膚科学会会員
日本抗加齢学会会員
日本熱傷学会会員
日本救急医学会会員
日本フォトダーマトロジー学会理事
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