薄毛・抜け毛の病気【医師監修】脂漏性脱毛症とは。頭皮がべたつく原因と治療法
2022/04/08 更新

監修医師
AGAスキンクリニック レディース院
診療顧問 田中洋平医師

- 【資格】
- 日本形成外科学会専門医
医学博士(信州大学)
- 【所属学会】
- 国際形成外科学会会員
日本美容外科学会会員
日本皮膚科学会会員
日本美容皮膚科学会会員
日本抗加齢学会会員
日本熱傷学会会員
日本救急医学会会員
日本フォトダーマトロジー学会理事

頭皮がべたつく、脂っこいなど、お悩みの方は少なくありません。頭皮のべたつきが悪化すると臭いやかゆみを招くこともあるため、放置するのは危険です。
頭皮がべたつく原因の一つとしては、脂漏性脱毛症が挙げられます。この記事では、頭皮がべたつく原因や治療法、脂漏性脱毛症などについて解説しています。
脂漏性脱毛症とは
脂漏(しろう)性脱毛症とは、脂漏性皮膚炎から起こる脱毛症のひとつ。脂漏性皮膚炎は皮脂の過剰分泌が原因で頭皮がべたつく病気で、ニキビ、炎症、湿疹などを招きます。その結果頭皮環境が悪化し、抜け毛が進行してしまうことを脂漏性脱毛症といいます。
思春期以降に症状が現れる方が多く、さらに高温・多湿で紫外線が強くなる夏の時期は、症状が悪化する方も少なくありません。
放置していても治る病気ではないため、早めに病院に訪れることが大切です。
脂漏性脱毛症の原因はカビ
脂漏性脱毛症の原因は、ホルモンバランスの乱れや洗髪のしすぎなど複数ありますが、カビ(真菌)が関係しているケースがあります。カビと聞いて驚く方も多いかと思いますが、マラセチアと呼ばれる常在菌といって誰にでもあるものです。健康時には問題はありませんが、皮脂や汗をエサに増えることで炎症を起こします。
頭皮だけではなく顔や首、胸、背中などに炎症が広がるケースもあり、肌トラブルとして悩む方は少なくありません。
脂漏性脱毛症の症状

脂漏性脱毛症の主な症状について、見ていきましょう。
フケ
シャンプーをしっかりしているのに、フケが多く出ることがあります。フケが気になると、シャンプーの回数を増やしてしまう方もいますが、余計に症状を悪化させる恐れがあります。頭皮や肌は乾燥すると保護するため、さらに皮脂を分泌します。そのため、過剰な洗髪は逆効果といえます。
また、フケは白くパラパラとしたイメージがありますが、脂漏性皮膚炎を発症している場合は、黄色味のあるベタベタしたフケが現れます。フケが大量に発生することで、毛穴の詰まりや頭皮環境が悪化し、抜け毛へと繋がります。
炎症やにきび
頭皮に炎症が起こると、かゆみや痛みを生じることもあります。かゆみがあるとつい頭を掻いてしたっまり、シャンプー時も力を入れてしまったりすると、さらにかゆみが起こります。そのほか、頭にできものやニキビが発生することもあります。
脂漏性脱毛症になりやすい人の特徴
脂漏性脱毛症を招きやすい人の特徴として、不規則な生活習慣や間違った洗髪方法が挙げられます。
生活習慣
揚げ物や脂身の多いお肉など、脂っこい食事を好む人は、脂質を多く摂りすぎていることから、脂漏性脱毛症を招いている恐れがあります。
睡眠時間が短い、睡眠の質が悪い場合、ホルモンバランスの乱れや成長ホルモンの分泌が減り、頭皮の健康状態が悪くなります。
そのほか、過度なストレスや喫煙、飲酒などが挙げられます。
間違った洗髪
先述していますが、頭皮のべたつきやかゆみ、フケなどが気になると、シャンプーの回数を増やしたり、ゴシゴシ洗ったりする方がいます。しかし、皮脂の分泌や炎症を悪化させてしまい、脂漏性脱毛症を招きます。
脂漏性脱毛症の治療法

カビ(マラセチア)が原因で脂漏性脱毛症を発症している場合、一般的にはステロイドや抗真菌薬にて治療を行います。
ステロイドは強い作用があるため、長期間の使用には注意が必要となります。病院では弱めのステロイドを処方することもありますが、用量や回数をしっかり守る必要があります。
抗真菌薬は、マラセチアを抑える作用のある薬です。ステロイドの使用に不安がある方は、抗真菌薬での治療を相談してみましょう。
そのほか、頭皮や肌の状態に応じて抗生物質やビタミン、尿素が配合されたローションなどが処方されるケースもあります。
脂漏性脱毛症を改善するには
脂漏性脱毛症は病院に受診するとともに、生活習慣などの見直しも大切です。
食生活の改善
脂っこい食事は過剰な皮脂を分泌させてしまうため、外食やコンビニ食はできるだけ避けましょう。そのほか、コーヒーやアルコール、辛い食べ物は頭皮や肌に刺激を与えてしまうため、症状が気になるときは避けた方が無難です。
和食を中心とした献立や、ビタミンが豊富に含まれている食材などを意識して食べましょう。特に、ビタミンB2やB6は皮脂を減少させる役割を持っています。
正しい洗髪
過剰な洗髪は逆効果ですが、頭皮や肌を清潔に保つ必要があります。顔にも脂漏性皮膚炎の症状がある場合、朝晩の1日2回の洗顔と1日1回の洗髪を行います。
その際、頭皮をゴシゴシと洗うのではなく、指の腹でやさしく洗ってください。爪を立てたり、強くこすったりすると頭皮を痛めしまい、脂漏性脱毛症を悪化させてしまいます。
早めに受診を検討する
食生活や洗髪など、自身で行える方法をお伝えしましたが、まずは病院で診察を受けることが大切です。脱毛症は複数の要因から起こっているケースも多く、しっかりと原因を知ることが大切です。女性の脱毛症はびまん性脱毛症やFAGA(女性男性型脱毛症)などがあり、脂漏性脱毛症と同時に発症している恐れもあります。
病院で抜け毛や薄毛に原因をしっかりと検査し、症状に合わせた治療を行いましょう。
- Summaryまとめ
- 脂漏性皮膚炎から毛穴の詰まりや炎症など、頭皮環境の悪化から起こる脂漏性脱毛症。原因は複数ありますが、カビ(マラセチア)が増殖している恐れもあります。
頭皮のべたつき、黄色味のあるフケ、かゆみや炎症などの症状がある場合、早めに病院を受診してください。
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