薄毛・抜け毛の病気【医師監修】脂漏性脱毛症とは。頭皮がべたつく原因と治療法更新日:2020年09月14日

頭皮がべたつく、脂っこいなど、お悩みの方は少なくありません。頭皮のべたつきが悪化すると臭いやかゆみを招くこともあるため、放置するのは危険です。
頭皮がべたつく原因の一つとしては、脂漏性脱毛症が挙げられます。この記事では、頭皮がべたつく原因や治療法、脂漏性脱毛症などについて解説しています。
脂漏性脱毛症とは
脂漏(しろう)性脱毛症とは、脂漏性皮膚炎から起こる脱毛症のひとつ。脂漏性皮膚炎は皮脂の過剰分泌が原因で頭皮がべたつく病気で、ニキビ、炎症、湿疹などを招きます。その結果頭皮環境が悪化し、抜け毛が進行してしまうことを脂漏性脱毛症といいます。
思春期以降に症状が現れる方が多く、さらに高温・多湿で紫外線が強くなる夏の時期は、症状が悪化する方も少なくありません。
放置していても治る病気ではないため、早めに病院に訪れることが大切です。
脂漏性脱毛症の原因はカビ
脂漏性脱毛症の原因は、ホルモンバランスの乱れや洗髪のしすぎなど複数ありますが、カビ(真菌)が関係しているケースがあります。カビと聞いて驚く方も多いかと思いますが、マラセチアと呼ばれる常在菌といって誰にでもあるものです。健康時には問題はありませんが、皮脂や汗をエサに増えることで炎症を起こします。
頭皮だけではなく顔や首、胸、背中などに炎症が広がるケースもあり、肌トラブルとして悩む方は少なくありません。
脂漏性脱毛症の症状

脂漏性脱毛症の主な症状について、見ていきましょう。
フケ
シャンプーをしっかりしているのに、フケが多く出ることがあります。フケが気になると、シャンプーの回数を増やしてしまう方もいますが、余計に症状を悪化させる恐れがあります。頭皮や肌は乾燥すると保護するため、さらに皮脂を分泌します。そのため、過剰な洗髪は逆効果といえます。
また、フケは白くパラパラとしたイメージがありますが、脂漏性皮膚炎を発症している場合は、黄色味のあるベタベタしたフケが現れます。フケが大量に発生することで、毛穴の詰まりや頭皮環境が悪化し、抜け毛へと繋がります。
炎症やにきび
頭皮に炎症が起こると、かゆみや痛みを生じることもあります。かゆみがあるとつい頭を掻いてしたっまり、シャンプー時も力を入れてしまったりすると、さらにかゆみが起こります。そのほか、頭にできものやニキビが発生することもあります。
脂漏性脱毛症になりやすい人の特徴
脂漏性脱毛症を招きやすい人の特徴として、不規則な生活習慣や間違った洗髪方法が挙げられます。
生活習慣
揚げ物や脂身の多いお肉など、脂っこい食事を好む人は、脂質を多く摂りすぎていることから、脂漏性脱毛症を招いている恐れがあります。
睡眠時間が短い、睡眠の質が悪い場合、ホルモンバランスの乱れや成長ホルモンの分泌が減り、頭皮の健康状態が悪くなります。
そのほか、過度なストレスや喫煙、飲酒などが挙げられます。
間違った洗髪
先述していますが、頭皮のべたつきやかゆみ、フケなどが気になると、シャンプーの回数を増やしたり、ゴシゴシ洗ったりする方がいます。しかし、皮脂の分泌や炎症を悪化させてしまい、脂漏性脱毛症を招きます。
脂漏性脱毛症の治療法

カビ(マラセチア)が原因で脂漏性脱毛症を発症している場合、一般的にはステロイドや抗真菌薬にて治療を行います。
ステロイドは強い作用があるため、長期間の使用には注意が必要となります。病院では弱めのステロイドを処方することもありますが、用量や回数をしっかり守る必要があります。
抗真菌薬は、マラセチアを抑える作用のある薬です。ステロイドの使用に不安がある方は、抗真菌薬での治療を相談してみましょう。
そのほか、頭皮や肌の状態に応じて抗生物質やビタミン、尿素が配合されたローションなどが処方されるケースもあります。
脂漏性脱毛症を改善するには
脂漏性脱毛症は病院に受診するとともに、生活習慣などの見直しも大切です。
食生活の改善
脂っこい食事は過剰な皮脂を分泌させてしまうため、外食やコンビニ食はできるだけ避けましょう。そのほか、コーヒーやアルコール、辛い食べ物は頭皮や肌に刺激を与えてしまうため、症状が気になるときは避けた方が無難です。
和食を中心とした献立や、ビタミンが豊富に含まれている食材などを意識して食べましょう。特に、ビタミンB2やB6は皮脂を減少させる役割を持っています。
正しい洗髪
過剰な洗髪は逆効果ですが、頭皮や肌を清潔に保つ必要があります。顔にも脂漏性皮膚炎の症状がある場合、朝晩の1日2回の洗顔と1日1回の洗髪を行います。
その際、頭皮をゴシゴシと洗うのではなく、指の腹でやさしく洗ってください。爪を立てたり、強くこすったりすると頭皮を痛めしまい、脂漏性脱毛症を悪化させてしまいます。
早めに受診を検討する
食生活や洗髪など、自身で行える方法をお伝えしましたが、まずは病院で診察を受けることが大切です。脱毛症は複数の要因から起こっているケースも多く、しっかりと原因を知ることが大切です。女性の脱毛症はびまん性脱毛症やFAGA(女性男性型脱毛症)などがあり、脂漏性脱毛症と同時に発症している恐れもあります。
病院で抜け毛や薄毛に原因をしっかりと検査し、症状に合わせた治療を行いましょう。
- Summaryまとめ
- 脂漏性皮膚炎から毛穴の詰まりや炎症など、頭皮環境の悪化から起こる脂漏性脱毛症。原因は複数ありますが、カビ(マラセチア)が増殖している恐れもあります。
頭皮のべたつき、黄色味のあるフケ、かゆみや炎症などの症状がある場合、早めに病院を受診してください。
関連記事
この記事の監修医師
AGAスキンクリニック レディース院 診療顧問田中洋平医師
- 【資格】
- 日本形成外科学会専門医
医学博士(信州大学)
- 【所属学会】
- 国際形成外科学会会員
日本美容外科学会会員
日本皮膚科学会会員
日本美容皮膚科学会会員
日本抗加齢学会会員
日本熱傷学会会員
日本救急医学会会員
日本フォトダーマトロジー学会理事
あわせて読みたい薄毛・抜け毛の病気の記事一覧
-
薄毛・抜け毛の病気
休止期脱毛症とは|症状や原因、治療方法について
髪が大量に抜ける場合は、薄毛の一種といえます。薄毛といっても、さまざまな種類があるため、事前にチェックしておきたいところでしょう。…
2020/10/13
-
薄毛・抜け毛の病気
【医師監修】女性の円形脱毛症とは。原因や種類、改善方法について
ヘアスタイルやおしゃれを気にする女性にとって、薄毛や抜け毛は美容の大敵です。もしも急に円形脱毛症になってしまったらショックが大きい…
2020/10/12
-
薄毛・抜け毛の病気
【医師監修】大学生・20代における牽引性脱毛症とは
多彩なヘアアレンジは、女性ならではの楽しみですよね。髪をまとめる位置を変える、お団子を作るなどまとめ方を変える、ヘアアクセサリーを…
2020/10/12
-
薄毛・抜け毛の病気
【医師監修】びまん性脱毛症の治療方法と治療期間
薄毛は見た目に大きく影響するため、できるだけ早く改善したいと考える女性が多いのではないでしょうか。びまん性脱毛症にかかると「ちゃん…
2020/10/12
-
薄毛・抜け毛の病気
【医師監修】びまん性脱毛症は何科に行くべきか
びまん性脱毛症は、女性が発症する脱毛症で特に多いとされています。びまん性脱毛症にかかってしまったかもしれないと感じると、「どうすれ…
2020/10/12
-
薄毛・抜け毛の病気
【医師監修】 ひこう性脱毛症の原因や治療・改善方法
「最近フケがでるようになったな」「なんだか頭もかゆいし……」とお悩みの方は「ひこう性脱毛症」かもしれません。思春期以降の男性に多く…
2020/09/14
-
薄毛・抜け毛の病気
【医師監修】牽引性脱毛症とは。原因や改善方法を解説
髪が部分的に抜けて薄毛になっている場合、牽引性脱毛症が疑われます。原因を解消せずに放置すると、さらに抜け毛が進行する恐れがあります…
2020/09/14
-
薄毛・抜け毛の病気
【医師監修】壮年性脱毛症とは。原因や症状、改善方法
髪が薄くなってきたと感じたら、早めにクリニックを受診することが大切です。抜け毛が増えて髪が薄くなるのは、壮年性脱毛症の可能性があり…
2020/09/14
-
薄毛・抜け毛の病気
【医師監修】円形脱毛症の初期症状・特徴・改善方法
急にコイン状に脱毛したときは、円形脱毛症が疑われます。円形脱毛症はコイン状に脱毛斑が現れる他にも症状があるため、急に脱毛したときは…
2020/09/14
-
薄毛・抜け毛の病気
「FPHL」とは。新しい女性の脱毛症概念。FAGAとの違いなど医師が解説
加齢とともに頭髪が薄くなり悩みを抱えるのは男性のイメージが強いですが、女性が薄毛に悩むケースも少なくありません。最近は女性の脱毛症…
2020/01/14
-
薄毛・抜け毛の病気
【医師監修】短い毛が大量に抜ける症状について
ブラッシングをした後やシャンプーをした後に、ゴソッとブラシに残る抜け毛に、恐怖心を感じた女性は少なくないのでは?抜け毛の本数には個…
2017/09/29
-
薄毛・抜け毛の病気
秋は脱毛症状が盛んになる季節です
季節の変わり目の中で、特に秋は抜け毛が多くなる時期です。理由はいくつかあり、動物の生態として冬の寒さに対応するために冬毛に生え換わ…
2017/08/07