薄毛の予防法【医師監修】薄毛と食生活の関係について

食事で摂取する栄養素は、健康を維持するのはもちろんのこと、髪の毛の原料にもなります。髪の毛の健やかな成長にも関わるため、薄毛対策をする際に欠かせないのが食生活の見直しです。あなたは今、髪の毛にとって健康的な食生活をしているといえるでしょうか?
「髪にいい」と思い込んでしていることが、思わぬ薄毛の原因になっているかもしれません。正しい知識を身につけることが、薄毛を改善する近道となります。
この記事では薄毛の原因となる食べ物や食生活などをご紹介します。薄毛対策のため、自身の食事を見直すきっかけにしてくださいね。
薄毛対策は毎日の食生活の改善でできる
髪のボリュームが減ったことが気になるけれど、薄毛対策といってもなにをすればいいのかピンとこないという方も多いのではないでしょうか。薄毛にはさまざまな原因があるため、どこから見直すべきか迷った結果、薄毛対策に着手できないということも考えられます。
そこで、まずは身近ですぐできる毎日の食生活の見直しから始めるのがおすすめです。
薄毛対策に必要な三大栄養素
薄毛対策に重要な役割を果たす三大栄養素が「タンパク質」「ミネラル」「ビタミン」です。それぞれがどのような働きをし、どんな食べ物に含まれているのかを見ていきましょう。
この項目では三大栄養素を紹介しますが、それらだけを食べていればいいわけでも、どれか一種類ばかりを食べ続けていればいいということでもありません。バランスを考え、さまざまな栄養素を摂取することが大事です。
タンパク質
- 髪の毛は「ケラチン」といわれるタンパク質で構成されているため、髪の毛の原料として欠かせない栄養素です。ケラチンは食事で摂取したタンパク質をもとに、体内で分解後再結合して生成されます。
タンパク質は肉や魚、卵、乳製品、大豆などに多く含まれます。
ミネラル
- 亜鉛などのミネラルは髪の毛の健やかな成長に欠かせない栄養素です。髪の毛を作り出す毛母細胞の増殖を促進するだけでなく、薄毛の原因となる男性ホルモンの発生を抑制する作用にも期待できます。
亜鉛は特に何もしていなくても1日に15mgほど消費されてしまい、飲酒や喫煙、過度なストレスによっても減少してしまうため、意識して摂取するのが望ましいといえます。
牡蠣や豚レバー、納豆、いわし、ナッツ類などに含まれているため、メニューに取り入れてみましょう。
ビタミン
- ビタミンA、ビタミンBなどの各種ビタミン類も、健やかな髪の成長をサポートしてくれる薄毛対策に欠かせない栄養素です。
ビタミンAは、代謝をアップして血流をよくし、頭皮環境をよくする働きがあり、にんじんやかぼちゃなどの緑黄色野菜に含まれています。ビタミンBは髪の毛のもととなるケラチンの生成を助ける働きをする栄養素で、あさりやまいたけ、ししゃもなどに含まれています。
これらのさまざまなビタミンを組み合わせ、バランスよく摂取するのが望ましいです。
食生活でホルモンバランスを整える
- 女性特有の薄毛の原因として、「女性ホルモンの乱れ」も挙げられます。女性ホルモンの中には「エストロゲン」というものがあります。エストロゲンは、髪の毛の成長やヘアサイクルに大きく関わるホルモンです。このホルモンは産後や更年期に減ってしまうことがあり、それが原因で薄毛になってしまうことも。食事でホルモンバランスを整えることも薄毛改善に繋がります。
食べ方としては、ひとつの食材を多く食べるのではなく、肉や魚、大豆のたんぱく質、野菜、炭水化物、良質な油など、さまざまな栄養素をバランス良く食べることと、3食きちんと食べること。特に良いとされているのは、納豆などの発酵食品や、ゴボウやバナナなどの食物繊維とオリゴ糖が多く含まれている食材です。大豆に含まれる大豆イソフラボンは、体内でエストロゲンに似た働きをし、食物繊維は腸内環境を整えてくれます。
薄毛の原因になる食生活とは?

ここまでは薄毛対策の際に注目したい栄養素や食材についてみてきましたが、次は薄毛の原因となってしまう食生活の習慣について紹介します。あてはまる習慣がないか見直し、髪や頭皮にやさしい食生活をするよう心がけましょう。
無理なダイエット
- ダイエットにはさまざまな方法がありますが、単純に食事を減らすことによる無理なダイエットをしている場合は注意が必要です。一気にやせたいと考えて急激に食事を減らせば、摂取できる栄養素やエネルギーも急激に減ってしまいます。そのため髪や頭皮に十分な栄養素が行き渡らなくなり、薄毛の原因となる可能性があります。
また「やせるために油分を避けなければ」と考えて油分をまったく摂取しないと、頭皮が皮脂不足に陥る可能性があります。頭皮の皮脂が不足すると乾燥し、頭皮環境が悪くなることで薄毛につながります。
ほかにも栄養不足でホルモンバランスが乱れたり、食欲を我慢することが大きなストレスになったりと、無理なダイエットには薄毛を引き起こす要素が多いといえます。ダイエットをするなら、極端に食事を減らすのではなく、きちんとバランスよく食べて、運動によってエネルギーを消費する方法をとりましょう。
外食ばかり
- 多忙や付き合いなどで外食ばかりになってしまっている人も注意が必要です。外食が多くなると食べるものが偏りがちになることから、栄養バランスが崩れやすく、薄毛の原因となります。行動範囲内で外食の内容にバリエーションを持たせるのは難しいためです。
また外食は、できるだけ安い原価で満足感のあるメニューにするため、動物性脂肪が多い高カロリーの食事や揚げ物などが多い傾向にあります。そのため外食ばかりだと脂肪分をとりすぎて、皮脂の過剰分泌を招く恐れがあります。
どうしても外食が多くなる場合はできるだけ和食を選び、添えられたサラダなどの野菜類は残さず食べるようにしましょう。そうすることで、外食で摂取しにくいビタミンなどを摂取できます。
食べすぎ
- 食べすぎもまた、薄毛の原因となる可能性があります。
たくさん食べれば、それだけ栄養素がたっぷりとれて良いのではないかと考えるかもしれませんが、食べすぎは内臓に大きな負担をかけてしまいます。胃腸が弱っていると、せっかく食事をとっても栄養素をしっかり吸収することができないため、食べすぎるのは避けるのが望ましいです。
また食べすぎは脂質や糖分、塩分などの過剰摂取をしてしまう恐れがあります。脂質や糖分の過剰摂取は皮脂の過剰分泌につながり、塩分は血液をドロドロにしてしまうため血行が悪くなることが考えられます。食事の際は食べすぎないよう、腹八分目を意識しましょう。
過度な飲酒
- お酒はほどほどに飲むと血行を良くするともいわれていますが、過度な飲酒は薄毛の原因となることがあるため要注意です。
アルコールは体内で分解される際にアセトアルデヒドという有害な物質を発生させ、薄毛の原因となる男性ホルモンのジヒドテストステロンを増加させる可能性があります。またアセトアルデヒドを無害化する際に、健康な髪の毛の成長に欠かせないビタミンなどの栄養素が使われてしまい、髪の毛が栄養不足に陥ってしまうことも考えられます。
薄毛の原因になる食べ物はコレ!

薄毛の主な原因は、頭皮の血行不良と髪の毛を作る栄養成分の不足です。血行が悪くなると、毛根に髪の毛の材料となる栄養が届きにくくなるため、髪の毛が育ちにくくなってしまいます。また栄養成分が不足すると、髪の毛の材料自体が少なくなるため、同じように髪の毛の育ちが悪くなってしまうことに。
血行不良を招くのが糖分の多い食事です。これは血糖値が高い状態が続くと血の巡りが悪くなってしまうためです。また髪の毛の栄養成分不足を引き起こすとされるのが、アルコールの過剰摂取。アルコールの分解のために体内の栄養成分が使用されてしまい、髪の毛に行き届かなくなってしまいます。その他にも、高カロリーの食事、ファストフード、コンビニのお弁当などは頭皮に皮脂を分泌させ、毛穴のつまりの原因となって髪の育成の妨げとなります。
卵を食べると薄毛になる!?
- 卵の成分のうち、生卵の白身に含まれるアビジンという成分が、脱毛に繋がる可能性があるとされています。アビジンと育毛を促進する物質「ビオチン」と結合すると、ビオチンの育毛を促進する力が失われてしまうと言われています。
アビジンとは卵白に含まれるたんぱく質の事です。アビジンはビオチンと結合しやすい性質があるので、黄身と白身を一緒に食べると、そのまま体外に排出されてしまい、育毛に効果的なビオチンが吸収されなくなります。そのため、薄毛につながってしまうと言われています。
アビジンが含まれる白身の食べすぎが抜け毛の原因となるのであれば、卵かけご飯や牛丼の温泉卵も、気を付けないといけないことになるのでしょうか?
しかし実はアビジンは熱に弱く加熱すれば、ビオチンと結合しないので、ゆで卵や目玉焼きであれば薄毛になる心配はありません。つまり、卵は白身を加熱すれば問題ありません。薄毛・抜け毛が気になる方は、生卵の食べ過ぎにも気をつけてみても良いかもしれません。
ファストフードやインスタント食品
- ファストフードやインスタント食品は栄養が偏るだけではなく、薄毛対策に好ましくない食品添加物が使用されている可能性があります。
食感の改善、風味の安定などの目的で使用される添加物のフィチン酸やポリリン酸などに、薄毛対策に重要な栄養素である亜鉛を排出させやすくする働きがあることがわかっています。せっかく摂取した髪に良い栄養素が排出されないよう、ファストフードやインスタント食品の摂取は、なるべく控えるようにしましょう。
カフェインの含まれるコーヒーや紅茶
- 食後にコーヒーや紅茶が欠かせないという人は多いですが、含まれているカフェインには要注意です。カフェインは、アデノシンという発毛を促進させる成分を破壊するといわれているためです。
コーヒーや紅茶は1日に数回飲む程度にとどめ、カフェインの含まれない飲み物を生活に取り入れましょう。
- Summaryまとめ
- 薄毛対策の際に摂取したい三大栄養素や、避けたい食生活、食品などをご紹介しました。
女性の場合は痩せてキレイになりたいと考えて無理なダイエットをしたり、子育てや仕事で忙しく食事を抜いてしまったりということが十分考えられます。しかしそれらの積み重ねが薄毛を引き起こしやすいことを考慮し、できる範囲で少しずつ食生活の改善を行いましょう。
食生活には気をつけているけれど薄毛が改善しないという場合や、どのように改善していいか自分だけではわからないという場合には、専門のクリニックの受診を検討してみましょう。
薄毛の原因はたくさんあり、食生活があまり関係していないこともあります。思わぬ内臓疾患などが薄毛を引き起こしている場合もあるのです。専門のクリニックで医師の診断を受けることで、どのような薄毛対策が必要なのかをアドバイスしてもらうことができ、必要に応じてそれぞれに合った薬の処方を受けることもできます。
専門のクリニックの受診も視野に入れつつ、食生活を少しずつ見直していきましょう。
この記事の監修医師
AGAスキンクリニック レディース院 診療顧問田中洋平医師
- 【資格】
- 日本形成外科学会専門医
医学博士(信州大学)
- 【所属学会】
- 国際形成外科学会会員
日本美容外科学会会員
日本皮膚科学会会員
日本美容皮膚科学会会員
日本抗加齢学会会員
日本熱傷学会会員
日本救急医学会会員
日本フォトダーマトロジー学会理事
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